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アレルギー性鼻炎に対するアルゴンプラズマ療法とは?

アルゴンプラズマで鼻の中の粘膜を焼き固め、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった鼻症状を抑えるものです。粘膜を焼灼(しょうしゃく)・凝固(ぎょうこ)することによって、

①腫れて厚くなった粘膜を薄くすることで、鼻の通りが良くなり、鼻づまりを軽減します。
②アレルギー反応を起こしにくい粘膜にします。

その結果、アレルギー物質(花粉、ホコリ、ダニなど)が鼻の中に入っても、くしゃみ、鼻水などのアレルギー反応が起こりにくくなり症状が軽くなります。この治療法は、主にアレルギー性鼻炎、花粉症の患者さんに行いますが、慢性鼻炎や肥厚性鼻炎による鼻づまりで悩んでいる方にも有効です。従来の「アレルギーのレーザー治療」より短時間で、また粘膜を均一に焼くことができる点で、有効性の高い治療法です。「焼く」というと怖いイメージがありますが、実際には粘膜表面が軽度のヤケドをする程度で、外から見ても分からず一般的には安全な治療といえます。

治療による効果

もちろん個人差はありますが、治療の効果が一生続くわけではありません。今までの報告では、鼻づまりには80〜90%程度、鼻水、くしゃみには60%程度の効果があると報告されています。粘膜は再生しますので、一般には治療効果は1〜2年間持続しますが、中にはそれ以上効果が持続する方もおられます。もちろん効果がなくなれば、1年程度で再度焼灼することも、また効果が不十分な場合は、複数回焼灼することもできます。再生するという意味では、切除してしまうような手術治療より安心な治療とも言えるでしょう。

具体的な処置の進め方

①鼻の中に麻酔液のついたガーゼを入れて、約20〜30分間麻酔します。

②ガーゼを抜いた後に、鼻の中に細長い棒状の器具を入れて、「下甲介」という部分を中心に焼灼します。両側で約10〜15分程度です。

③写真にあるように棒状の器具先端から電気を帯びたアルゴンガスが出て、粘膜表面を焼灼します。焼灼されている部分の粘膜が凝固し、白く変色・収縮しています。

④治療直後の粘膜は、鼻の奥まで色が白く変わっていますが一ヶ月もすると、通常の粘膜の色になります。

焼灼中のイメージ
焼灼中のイメージ
実際の処置画像
実際の処置中画像
治療前の粘膜
治療前の粘膜
治療後の粘膜
治療後の粘膜

費用やその他の注意点

保険適応ですので、費用は3割負担の方で6,000円程度(1割負担の方で2,000円程度)です。

また、以下の方にはこの処置は行えません。
①麻酔薬にアレルギーのある方
②妊娠中の方
③ペースメーカーや人工内耳などの電気機器を体内に埋め込む手術をした方
④乳幼児などの処置が困難な方(小学校高学年程度から処置可能なことが多いです。)

アルゴンプラズマ療法はアレルギーを根本的に「治す」ものではありません。症状を抑える方法の一つとお考えください。また、効果やその持続期間は人によってまちまちですが、特に鼻づまり等の鼻症状が強い方や、内服薬や点鼻薬を長期間継続することに抵抗のある方には、良い方法と言えるでしょう。お困りの方はご相談下さい。

花粉症でお困りの方は、症状の出る前に処置を受けましょう!
例年、スギ花粉症シーズンにアルゴンプラズマ療法をご希望される患者さんがおられます。もちろん、シーズン中の処置も可能ですがおすすめはしません。 処置後粘膜が腫れて一時的に鼻づまりが強くなり、さらに粘膜が落ち着くのに1ヶ月程度を要します。花粉症シーズン中にこの処置を行うと、花粉症時期には余計に鼻づまり等の症状が強く出る可能性がありますので、症状の出る一ヶ月前までに処置を終わらせるようにしましょう。具体的には、シーズン前の12月までに処置を受けるか、遅くとも1月末までに処置を終えるのがおすすめです。